自己表現


自己表現ってどんな領域?

「自己表現」の様子を「画像」「音楽」「身体」「言語」「数」の観点で把握する領域です。

CRAYON BOOKの「自己表現(才能発掘)」は形成された概念を基にして感じたことや考えたことを自分なりに表現することと定義されています。つまり、「〇〇はこうゆうもの」というこれまで形成されてきた概念を土台に、「じゃあこうしてみよう」と子どもたちなりの言葉や身振り、手段で表現することです。子どもたちを主体とした自己表現を把握することで、その子の「才能」として発掘し、その才能を活かした関わりを促します。

 

 


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画像的表現

感じたことや考えたことを、色や形を活用して表現する頻度を観察する領域です。色や形の知識や表現技法など子どもの選択肢を増やすことで、もっと自由な表現技法を楽しむ力を育みます。

  • 色の性質を活用した表現の項目
  • 形の性質を活用した表現の項目
  • 描画的技法を活用した表現の項目
  • 鑑賞による表現の項目

画像的表現を引き出す保育内容

  • お絵描き:クレヨンや絵の具といった馴染みのある道具から、ストローを使った吹き絵に、野菜を使ったスタンピングなど、様々な画材を使って絵をかいてみましょう。画材によって、色の混ざり方や重なりの違いがあることを楽しんでみるのもいいですね。
  • 製作活動:様々な素材や形を組み合わせていろいろなものを作ってみましょう。「□と△を合わせたらお家」などイメージを広げて表現することができるようになるかもしれません。また、ハサミやのりなどの道具を使うきっかけにもなる遊びです。「つるつるしてるから、のりではくっつかない」といった道具と素材の相性にも気づくようになるでしょう。
  • 壁面飾り:壁面の飾りから季節を感じたり、友達の作品を鑑賞するのも画像的表現を引き出すポイントです。友達の作品を真似してみたいという気持ちや、自分の作品が飾られていることの喜びから、より画像的表現を積極的に見せてくれるかもしれません。

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音楽的表現

感じたことや考えたことを、歌や楽器を活用して表現する頻度を観察する領域です。子どもたちの音楽家としての芸術的才能だけでなく、音楽で気分を上げたり落ち着かせたり、リズムを合わせてコミュニケーションをとったりなどの将来的な生活の質(=QOL)を高める土台となる力を育みます。

  • 歌唱表現に関する項目
  • 演奏表現に関する項目
  • 音に対する身体表現に関する項目
  • 音やリズムを真似する表現の項目
  • 音楽的な意味合いを理解した表現の項目

音楽的表現を引き出す保育内容

  • 音の表現遊び:保育士が弾くピアノの音色に合わせて、子どもたちはその雰囲気を身体で表現していく遊びです。弾むような楽しい曲が流れているときはスキップしたり跳ねたりし、反対に暗い悲しい曲が流れたら寝転がったりするのもいいですね。
  • リトミック:音の表現とともに身体の運動につながる遊びです。音楽 やリズムに合わせて手拍子をしたり足を鳴らしたりと、身体での表現を楽しんでみましょう。
  • 楽器遊び :自由遊びの時間にも、鍵盤ハーモニカや太鼓、木琴や鉄琴などで音を楽しめる環境をつくることで、様々な音に触れ、楽器に親しみを持つことができるようになるでしょう。

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身体的表現

感じたことを、身体を活用して表現する頻度を観察する領域です。子どもがどもが自分の身体を理解することを促し、自分の身体に直接触れるものや食べ物への表現力や、自分の身体が無意識に感じてる平衡感覚や筋肉をうまく操る力を育みます。

  • 味覚的表現の項目
  • ジェスチャー表現の項目
  • 体の一部や全部を使った表現の頻度に関する項目
  • 身体の様々な使い方に関する項目

身体的表現を引き出す保育内容

身体的表現を引き出す保育内容のは、伝承遊びや、音楽的表現と組み合わせた活動が有効です。

  • どかーんじゃんけん:タイヤの上を渡りながら、相手の陣地を目指す遊びです。相手と合流したところでじゃんけんをし、勝ったら先に進めますが、負ければ自分の陣地に戻ります。バランスを取りながら、素早く移動をすることが難しい場合には、床に張ったテープの上で遊ぶのもいいかもしれませんね。
  • 缶けり鬼に見つからないようにしながら、鬼が守っている缶を蹴る遊びです。鬼が見ていないすきを狙って缶をけるといった判断力や、発力や素早さが必要な遊びです。
  • おしくらまんじゅう鬼おしくらまんじゅうは、寒い時期に体を温めるために行う子どもの遊びとして親しまれてきました。みんなが不規則な動きをするので色んな方向へ引っ張られるのが楽しさの一つでもあります。

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言語的表現

感じたことや考えたことを、言葉を活用して表現する頻度を観察する領域です。遊びや生活の中で言葉を使って自分が言いたいことを主張する力を育みます。

  • 自己の主張に関する表現の項目
  • 過去の出来事を言葉で表現する項目
  • 未来の出来事を言葉で表現する項目
  • 仮定や架空の出来事を言葉で表現する項目

言語的表現を引き出す保育内容

  • 絵本の読み聞かせ:たくさんの絵本がありますが、乳児は特に、色のはっきりとした絵本やオノマトペがたくさん出てくる絵本がおすすめです。耳から入ってくる音をそのまま言葉にして表しているオノマトペは、子どもたちの言語的表現を引き出すきっかけになるかもしれません。
  • 素話:「お話のはじまりはじまり」という言葉を合図に、子どもたちの思いついたままにお話をしてもらいます。お話をすることが難しい子は、イラストを使ってイメージしてみたり、隣の子にバトンタッチをしてお話をつなげてもらうのもいいかもしれません。
  • 言葉遊び(しりとり、なぞなぞ、早口ことば など):言葉遊びをすることで、自然と語彙力が増えたり、新たな表現方法を知るきっかけにもなります。特に、しりとりやなぞなぞ遊びなどは、答えを導き出すために考えたり、イメージしたりする過程がありますので、思考力を育てることにもつながるでしょう。

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数的表現

感じたことや考えたことを、和也量を活用して表現する頻度を観察する領域です。数字が生活に根差していることを実感して、物事を正確に捉えたり、解決の方法として数字を活用したりする力を育みます。

  • 大まかな数量の変化に気づきに関する項目
  • 大きさや長さなど量の変化に関する項目
  • 数字記号の理解に関する項目
  • 順序としての数の理解に関する項目
  • 簡単な数の操作に関する項目

数的表現を引き出す保育内容

  • :折り紙は、どのように相手と同じように折るかを考えたり、折り方による形の違いを理解したりなど、多くの思考を必要とする遊びです。また、一人で折り紙をする際にも、折り紙の本に描かれている複雑な図形を理解することが必要になります。そのため、自然と思考力が身についたり、図形を使って表現をしたりする姿が見られるかもしれません。
  • すごろく遊び:サイコロの目は、視覚的で分かりやすいため「数量」の理解がしやすいのが特徴です。コマを進める時には、「5つすすむ」「2つもどる」といったイベントに合わせて、自然と「数唱」を行うため、楽しく数を覚えられるようになるでしょう。子どもの年齢に合わせて、オリジナルのすごろくを作るのもいいですね。
  • おはじき遊び:きらきらしたおはじきは、子どもたちの興味をひくものだと思います。はじいて遊ぶのが一般的ですが、並べて数を数を数えたり、コップに数の違うおはじきを入れて重さを比べてみたりすることで、数的表現を引き出すことができるかもしれません。